求められる「睡眠の質」とは?全国300人に聞いた睡眠実態
2025.10.14
こんにちは、10 Inc.で主に定量調査を担当しているミヤです。
今回は「睡眠」に関するトピックについてお伺いした結果をご紹介します。
連日の猛暑により寝苦しい日が続きましたが、だんだんと朝夜はエアコンなしでも過ごせる時間が増えてきました。季節の変わり目は気温や日照時間の変化、生活リズムの乱れによって睡眠の質や時間が変動しやすい時期。また、働き方改革やセルフケアへの関心の高まりによって、以前にもまして「睡眠の質」や「睡眠の質向上」が注目されています。
睡眠に関する悩みや対策のデータを通じて、消費者が求める「睡眠の質の向上」意識について考察しました。
【調査概要】
実査機関:自主調査(10 Inc.)
調査手法:オンラインコミュニティ調査(MROC)
対象地域:全国
調査期間:2025年8月6日(水) ~ 2025年8月12日(火)
調査対象者:20歳~69歳の男女・318名(男性122名:女性196名)
※本調査結果を転載される場合は、「10inc調べ- https://10inc.co.jp/」と併記をお願いいたします。
睡眠実態
睡眠時間の実際と理想
20代は実際、理想両方の睡眠時間が最も長く、年代が上がるにつれ短くなっています。60代は4人に1人が実際の睡眠時間が5時間未満となっており、平均睡眠時間が最も短いです。
また、どの年代も理想の睡眠時間は「7時間以上、8時間未満」が最も多いですが、実際とのギャップが目立ちます。
■睡眠時間の実際と理想:全員ベース

ショートスリーパーについて
ショートスリーパーは羨ましい?
十分な睡眠時間を確保しよう、した方がよいと考えている人が多いことが確認されました。その上で、短い時間(6時間未満)でも日中支障なく活動できる「ショートスリーパー」についてどのように感じているかを聞いてみました。
その結果、半数が「羨ましい」と感じており、60代では意見が分かれているようです。
羨ましい、羨ましくない、それぞれの理由を見てみると、やはり羨ましい理由は「やりたいことができる時間が延びること」が多いですが、なかなか眠れない、目が覚めてしまう悩みがある人は、無理に寝ようとしなくても十分活動できる睡眠時間で済むことに魅力を感じています。
一方で、羨ましくない理由としては「健康にあまり良くないのではないか」、「疲労は蓄積されてしまうのではないか」という懸念のほか、そもそも眠ることが好きなので、減らしたくないという意見もありました。

非常に羨ましい
- 眠るまでに時間がかかったり、寝ても途中で眼を覚ましたりしてしまうので、効率的に眠るのが羨ましいです。(男性_30代)
- 仕事、家事、育児と時間がいくらあっても足りず、日中の活動時間が増えることがうらやましいです。(男性_40代)
- たくさん寝ると身体が動きだすまでに、時間がかかる気がするので、短時間睡眠のほうが、気持ち身体が軽いと感じるので理想的に感じます。(男性_40代)
羨ましい
- 眠ることが大切と思いつつも、やりたいことが多く、眠るのが惜しい。24時間以上欲しいと日々思っているので、睡眠時間が短いのは良いなと思います。 (男性_40代)
- 限られた1日の中で、使える時間が多くなるのは大きなメリットだと思います。自分のやりたいことに使える時間が増えたり、仕事や趣味などの活動に集中できる時間が長くなるのは非常に魅力的です。ただし、健康への影響が少し心配です。(女性_20代)
- 日中支障なく活動できるというところが羨ましい、自分は5時間ぐらいしか眠れない(入眠剤を使っても)ので日中睡魔が襲ってきます。午前中は動けますが午後には活動できなくなってしまうことも度々あります。一日を充実して過ごせると言う事が羨ましいですね。(女性_60代)
どちらともいえない
- 自分がショートスリーパーなので。 いつも4時間~5時間睡眠ですが、元気いっぱいです。朝も夜も自分のしたいことに時間を使えるので、この生活リズムが気に入っています。(女性_40代)
- 何かすることがあるなら、その時間を有意義に使えると思うが、特にないなら何もしない時間が増えるだけだと思うから。(女性_60代)
あまり羨ましくない
- 仮に自分がショートスリーパーになっても、スマホを弄ったりする余計な時間が増えるだけで、減った睡眠時間分の生産的な活動をできるとは思えないから。(男性_20代)
- 日中に問題なく活動できたとしても、何らかの見えない疲れや影響が体に来ていそうだから。(男性_30代)
- 深い眠りを得られれば睡眠を十分取ったことになりますがショートスリーパーの大半は単純に眠る時間が短いだけの場合が多いので特に羨ましいと思いません。長期的に見れば健康的に悪いという話を聞いたことがあります(男性_30代)
まったく羨ましくない
- 日中支障なく活動できると本人は思っているだけで、気づかないうちにマイクロスリープをちょこちょこ取っていると思う。睡眠時間中に脳の老廃物を処理していると聞いたことあるので、短い睡眠を続けていると年を取ったときに見た目も中身も老化が早まりそうな気がして恐いです。(女性_50代)
- 私は睡眠時間が大好きなので、減らしたくないから。(女性_50代)
睡眠時間の重要度
「自宅で過ごす“自分時間”のうち、この時間だけはきっちり確保したいと思うもの」に順位をつけてもらうと、睡眠を1位に挙げる人が半数にのぼり、食事やリラックスタイムよりも重視している人が多いです。なお、この結果について年代による違いはみられませんでした。
■自宅時間の重要度ランキング:全員ベース

睡眠の悩みと対策
睡眠に関する悩み
睡眠に関する悩みについて、全体の90%以上が何かしらの悩みがあると回答。具体的にどのような睡眠悩みが感じられているのかを、全体と年代別で確認しました。その結果、20-40代は「十分に寝ても疲れが取れない」、「目覚めがすっきりしない」、「睡眠不足」が、50-60代は「何度か目が覚めてしまう」、「トイレに起きてしまう」が他年代に比べて高くなっています。そして、「眠りが浅い」は若年層と高年齢層が交差する悩みであり、それぞれの悩みの原因として考えられていると推察されます。
20-40代:“眠りが浅い”から、“疲れがとれない”、“目覚めがすっきりしない”
50-60代:“眠りが浅い”から、“何度か目が覚めてしまう”
■普段感じている睡眠悩み:全体ベース

睡眠の質向上や悩みの解消のために行っていること
60代は他年代に比べ、「寝室環境を整える」、「快適な寝具(布団、マットレス、パジャマ、掛け布団など)を使う」といった睡眠環境を整えています。一方、40代は「決まった時間に布団に入る」や「あたたかい飲み物を飲む」のように、習慣の変化によって対策する人が多いようです。また、出現は少ないですが20代は他年代に比べ「睡眠薬を飲む」が高くなっています。
■睡眠の質を良くしたり、悩みの解消のために行っているもの:全体ベース

睡眠の質向上や悩みの解消のために行っていること
より良い睡眠のために使ってもよいと思う平均予算をみると、60代が最も高く、40代が最も低くなっています。より良い睡眠環境を整えるためにお金をかける60代と、習慣の変化による対策のため予算も低めの40代が対照的です。ただし、60代は「お金を使うつもりはない」が他年代に比べ最も多いので、お金を使う人と使わない人の差が大きいのも、この年代の特徴と考えられます。
■より良い睡眠のために使っても良いと思う予算:全体ベース

まとめ
今回の結果により、各年代層が考える向上すべき「睡眠の質」に違いがあることが分かりました。20-40代が考える良い睡眠の質とは、「目覚めた時に疲労が回復していてすっきり起きられること」、つまり目覚めた時にベネフィットを最大限得られる睡眠となります。一方、50-60代は「一度も目覚めずに眠れること」なので理想とする睡眠時間にしっかり眠れることと考えられます。そして、いずれの年代も質の良い睡眠には6-7時間が必要と考えています。浅い眠りはその両方に影響する悩みと考えられます。
昨今、疲労回復パジャマや睡眠管理アプリ、サプリメントと睡眠の質向上を目的としたさまざまな製品が店頭に並んでいることから、睡眠の重要性認識と関心度は高まっているようにうかがえます。
質の良い眠りのための消費意向も高く、様々な分野の企業が注目しており、市場としてさらに拡大することが期待されています。
一方で、深刻な睡眠悩みを抱える人も多く、一般成人の30-40%が何等かの不眠症状を有しており、加齢とともに増加しています。また、日本では成人の5%が睡眠薬を服用している状況です。
今回の調査を通じて、睡眠に悩みを感じている人が多くいることを改めて実感しました。今後も社会環境やライフスタイルの変化に伴い、その傾向を注視していくことが重要と考えられます。