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新年の目標は約6割が立てない派。「ゆるい目標設定」が幸せな一年をつくる!?

2026.1.6

あけましておめでとうございます!
みなさま年末年始はいかがでしたか?
10inc.でリサーチャーを担当しているあきおです。
今回は年始にちなんで、「年末の振り返り&新年の目標立て」について弊社が運営する 消費者オンラインコミュニティ「torio café」で実施した調査についてご紹介します。

年末年始といえば、一年の区切りとして自分を振り返り、「来年はどんな一年にしようか」と考えたくなるタイミングですよね。
私は昔、まったく何も考えない派でしたが、35歳を過ぎた頃からなんとなく目標を立てるようになってきました。みなさんはいかがでしょうか?
今回このテーマについて、torio café のメンバーのみなさんに話を聞いてみると、意外な結果や現代のムードを象徴するような傾向がみえてきました。

【調査概要】
実査機関:自主調査(10 Inc.)
調査手法:オンラインコミュニティ調査(MROC)
対象地域:全国
調査期間:2025年11月5日(水) ~ 11月11日(火)
調査対象者:20歳~69歳の男女・293名(男性112名:女性181名)
※本調査結果を転載される場合は、「10inc調べ- https://10inc.co.jp/」と併記をお願いいたします。

「新年の目標」、立てない人が約6割。その意外な理由とは

まずは、新年の目標設定に関する実態を見てみましょう。

「毎年しっかりと立てる」と回答した人は、なんと全体のわずか7%程度。これは正直、意外でした。
「立てる派」は全体の約4割ですが、その多くは「なんとなく立てる」派。私自身もここに当てはまります。しかし、ここで注目すべきは、約6割が「立てない派」であるという点です。その理由を世代別に見ていきましょう。

目標を立てない?世代別に見えてきた「3つのリアル」

【20代】「傷つきたくない」自衛本能
Z世代を中心とする若手層では、「目標未達成による自己肯定感の低下」を避けるため、目標設定そのものを避ける傾向が見られました。
彼らにとって目標は、成長を促すものというよりも、「自分を傷つけるリスク」として認識されているようです。

「立ててもやらないことが多くて自己肯定感が下がるため。」(20代女性)
「シンプルに億劫。立てても達成できると思えない。」(20代女性)

【30〜40代】「生きるだけで精一杯」の悲鳴
仕事と家庭の両立が本格化するこの世代では、「未来を描く余裕がない」というリアルな声が多く聞かれました。
ここにあるのは、「現状維持こそが最大のミッション」という極めて現実的な感覚です。

考えたこともなかったです…。日々生きることに必死だからかもしれません。」(30代男性)

「その日のやるべきことをこなすように努力しており、特に目標は立てない。」(40代女性)

【50-60代以上】「競争からの離脱」という平穏
この世代では、ネガティブな理由というより、人生のフェーズ変化による「成長的思考からの卒業」という意識がみられるのが特徴的でした。

目標を立てるほど欲がない年齢になったから」(50代女性)
「すでに隠居の身で、日々を穏やかに過ごせれば十分」(50代男性)

このように、世代ごとに理由は異なるものの「新年の目標立て」が必ずしもポジティブな行為として受け取られていない点は共通しています。
どの世代の意見も個人的に非常に共感できるなあ、としみじみ思います。「目標」という、かつては前向きなものであったものが、現代では少し重たい存在になっているのかもしれません。

「一年の計は元旦にあり」という言葉は昔からありますが、現代において新年に目標を立てることは無意味、はたまた害にしかなり得ないものなのでしょうか?

このように、世代ごとに理由は異なるものの「新年の目標立て」が必ずしもポジティブな行為として受け取られていない点は共通しています。
どの世代の意見も個人的に非常に共感できるなあ、としみじみ思います。「目標」という、かつては前向きなものであったものが、現代では少し重たい存在になっているのかもしれません。

「一年の計は元旦にあり」という言葉は昔からありますが、現代において新年に目標を立てることは無意味、はたまた害にしかなり得ないものなのでしょうか?

「新年に目標を立てる」人ほど、1年の満足度が高い?

ここで新たに興味深いデータをご紹介します。
わたくし個人的にも最も衝撃的だった、「年始の目標設定スタンス」と「その年の満足度」の関係です。

データを見ると、年始に目標を「立てる派」、特に「毎年しっかりと立てる」人ほど、一年をポジティブに振り返っていることが分かります。
一方、「立てない派」はフラット~ネガティブな評価が優勢でした。
この結果だけを見ると、「年始に目標を立てた方が、その年を充実したものとして感じやすい」と言えそうです。

しかし、話はそう単純ではありません。
先ほど見たように、「立てない派」の理由には十分な納得感がありましたね。しかし、データからは目標を立てた方が「なんか良さそう…!」と感じるのも事実ですよね。
では、その違いはどこにあるのでしょうか。

実現必須ではない。「ゆるい目標」がポジティブに作用する

ポジティブに一年を振り返っている「立てる派」の回答から、そのヒントを探ってみましょう。

「一年の始まりに立てた目標を完璧に達成出来なくても、少しは目標に近づけたので良かったと思います。」(30代女性)
「やってみたいことが実行(完成度50%だけど…)できたから。次は100%に近づけるよう頑張りたいです。」(30代女性)
食べたいものを食べ、買いたいものを買い、行きたい所に行けた。そのためにやりたくない事を頑張れた一年だったから。」(40代女性) 
「貯金については目標には達しなかったものの、これまでの人生では1番貯められたので、反省することもあまり無いかな。」(30代男性)

回答から漂うゆる~い雰囲気が良いですよね。どの回答からも、「完璧さ」や「崇高な努力」を求めていない、ゆるやかな雰囲気が漂っています。
「できなくてもいい」「まあできたよね。うんうん。」
そんな自己許容こそが、ポジティブな振り返りにつながっているようです。あるいは「好きなようにやった!」と自由に自分らしくあれたこと、それ自体を目的達成とする、そんな姿勢も同様です。

「できなくてもいい」というゆるい気持ちで年始に目標を設定しちゃおう、という「意識の高くない目標立て」がその1年を変える気がしてきました。ここらへんに今まさに大事な感覚がありそうです。

さて、目標というものが「ゆるくていい」「できなくてもいい」ということがわかりました。ここで新たに問題になるのは目標を立てた後のこと、それはなんといっても「どんな風に実行していくか」ですね。

できなくてもいいと言われても、何もしないのはさすがに投げやりすぎです。かといって、年始のモチベーションを保ち続けるのは非常に難しいですよね…。次は、モチベーションを維持するために、みなさんが実践している工夫を見ていきましょう。

「今・現在のよろこび」を最優先する行動が、モチベUPの鍵

調査では、「やる気を出すために使っているアイテム・行動・習慣」を選んでもらいました。選ばれた数でみるとランキングはこちら。

「ご褒美設定」がやはり人気ですね!具体的にどんなことをされているのか、みてみましょう。「n=1」の個別の行動・習慣に着目することで、今現在のリアルな欲求がみえてきます。

【ご褒美設定】

「あまり記録にするのは好きではないですが、あえてあり得ないような目標をスマホのメモにしてその前に先にご褒美を与えるシステムにしています。」(30代男性)

目標達成の際に自分へのご褒美を設定することは一般的かと思いますが、達成前に先んじてご褒美をあげてしまう、というのが面白いですね。「嬉しいこと、楽しいことを最優先し、目標への努力は未来の自分に期待」といったところでしょうか。この考え方にも、「ゆるさ」に通じる雰囲気を感じます。

【手帳やノート】

「ノートに欲しいもの、やりたいこと、やるべきことを書き、達成できたら一つ消す。その消す瞬間がたまらなく嬉しいから。」(40代女性)

ここでは、達成そのものよりも、「消す快感」がモチベーションになっています。
この方の行動・習慣にはアナログツールならではの物質的な快感がみえてきます。目標を達成した際に「ザッ!」っと文字を消しゴムで、あるいはペンで線を引いて一気に消すのでしょうか。ダイレクトに体感できる気持ちよさが伝わってきます。もはや目標達成よりもその消すこと自体が目的になっているようにも思えます。

ここにもヒントが隠れていそうですね、目標を達成自体は決して「目的」ではない…。この方にとって目標という存在は、例えるならば、もはや「遠く立ちはだかる巨大な壁」ではなく「気持ちよさへとつながるジャンプ台」として捉えられているのかもしれません。

【アプリ・ツール】

「その日の株取引を日記形式で残しています。単純な数字だけでなく何を考えてどういう行動をとったのかを記録しておくことで後の教訓にしています。」(40代女性)

この方は日々の株取引に関連した何らかの目標をたてているのでしょう。株取引というと一回一回の取引それぞれに「一喜一憂して終わり」、あるいは「ひとつの失敗によって大きく落ち込んでしまう」といったことが想定されます。
このような行動の一回性・希薄さは目標へのモチベーションを著しく阻害する原因となるかと思われます。しかし、この方の行動・習慣において一つ一つの行動は、単なる「結果」ではなく「将来の自分を助けるための教訓(データ資産)」へと瞬時に変換されていることが想像できます。
これにより、たとえネガティブな結果(失敗)でさえも「価値ある情報を記録できた」というポジティブな自己効力感として即座に回収でき、目標達成という遠い目的に縛られず日々の活動そのものに意味と快感を見出していることが分かります。

これら上位3つの行動・習慣の共通しているのは、「目標達成という遠いゴール」に焦点を向けるのではなく、「今この瞬間の行動」に目を向けていることです。
独自の快感や報酬を組み込み、努力の過程そのものをポジティブな体験に変えることを通じて、「今・現在のよろこび」を最優先することが現代のモチベーション維持において必要とされているのではないでしょうか。
「遠い目標に向かってひたすらに努力を続けるストイックさ」よりも「今・ここの時点において感じられる喜びを優先するゆるさ」がモチベーションのエンジンとなっているのです。

新年への期待は「ウェルビーイング」

最後に、「2026年を表す漢字一文字」を挙げてもらいました。みなさまの2026年にかける想いをみてみましょう!

第1位「楽」:
この字には、「積極的に楽しむ」という能動的な幸福感と、「適度に手を抜いて気楽でいる」という心理的な安全性の確保という二重の意味が込められています。これは、目標達成のために無理をするのではなく、日々の生活の中でストレスなく、心地よさを追求したいという想いがあらわれています。

楽しいことをたくさんしたい。気が乗らないことも楽しめるようにしたい。適度に手を抜いて楽に生きたい。とにかく、楽、を大切にしたい。」(40代女性)

第2位「健」:
心と身体が健やかであることを、全ての活動の土台(ベースライン)として捉えていることを示します。目標達成や成長といった次のステップに進む以前に、「心も身体の健やかさ」を維持することが最優先事項となっています。

「家族みんなが、心も身体も健やかに過ごせます様に…との想いを込めて。」(50代女性)

第3位「笑」:
「笑」には、どのような状況においても、なるべくポジティブな自分でありたいという願いが込められています。外的な要因に大きく揺さぶられることなく、心をプラスの状態にキープし、自分だけでなく周囲にもいい影響を与えたいという想いがみられます。

「どんなに辛い時でも笑っていたいから」(30代女性)
「笑顔を忘れずに自分も周りも元気にして、みんなでハッピーな一年にしたい!」(40代女性)

上位の漢字からは、「無理をしない幸福」を求める姿勢が浮かび上がります。
人々が求めているのは、競争や達成よりも、心身の充足=ウェルビーイング。「競争や努力よりも、心地よさや心の平穏を優先する、持続可能な幸福」へとシフトしているといえるでしょう。
この傾向はこれまで見てきた「ゆるい目標」や「今のよろこび」とも強く結びついています。

まとめ

今回の調査を通じて見えてきたのは、頑張りすぎず、頑張りすぎない新しい目標のかたちでした。

1. 目標は立てた方がベター!ただし「ゆるく」が鉄則
まず、一年をポジティブに振り返るためには、やはり何らかの「目標」を設定することが有効ということが明らかになりました。しかし、それは自分を縛る重い鎖であってはなりません。目標は「達成できなくてもOK」くらいの気持ちで、義務感に囚われずにゆるく設定し、心理的なプレッシャーを回避しましょう。

2. モチベーションの源泉は「快感」
目標に向かう原動力は、もはやストイックな努力ではなくなっています。すべてが「今の自分の喜び」を最優先する行動に集約されていました。未来の目標達成のためではなく「今気持ちいいからやる」という、極めてゆるい仕組みこそが継続力を生んでいるのです。

3. 2026年は「心と身体の充足」を追求
こうした流れの究極の形として、2026年に人々が求めるのは、『楽』『健』『笑』に象徴される「ウェルビーイング」です。無理せず楽しみ【楽】、心身の状態を整え【健】、ポジティブな気持ちでいること【笑】。

2026年を豊かに過ごすためのヒントは、「気負わず、ゆるく目標を立て、その過程で自分だけの快感を見つけ、心と身体の健やかさを何よりも大切にする」こと。
無理なく、楽しく、ポジティブに2026年を過ごしていきましょう!