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価値共創は、顧客の前に「組織の内側」から始まる。

2025.12.17

こんにちは、10INC PRです。

以前のコラムでも触れましたが、私たちが考える「価値共創」とは、単に顧客の声を集めたり、要望に応えたりすることではありません。顧客と企業が対話を重ねながら、まだ言語化されていない価値や可能性を共に見出し、未来に向けて形づくっていくプロセスそのものです。

では、その価値共創は、どうすれば本当に機能するのでしょうか。
私たちがこれまで多くの企業と向き合う中で確信してきたのは、顧客と価値を共創するためには、まず企業自身が“内側”から変わる必要がある、ということでした。

ビジネスの現場では、以前と比べて「価値共創」という言葉を耳にする機会が増えてきたように感じます。
市場の変化、競合の動き、テクノロジーの進化、顧客トレンド。
企業が「変わらなければならない」と考えたとき、視線はどうしても“外側”へ向きがちです。しかし、本当に問われているのは、外側と同じくらい内側に目を向けられているかどうかではないでしょうか。

「顧客理解」だけでは、価値共創は起こらない

価値共創とは、
「顧客の声」 × 「自社としての意思」 × 「実行する組織・人」
これらが掛け合わさったとき、はじめて動き出します。

近年、顧客理解の重要性は広く認識されるようになりました。ただし、顧客を理解しただけでは価値共創は起こりません。なぜなら、「顧客を理解すること」はあくまでスタート地点にすぎないからです。
顧客と共に未来をつくるためには、

  • 事業を担う人の「解釈」
  • 組織としての「意思決定の仕方」
  • アイデアを形にできる「実行力」

といった“内在的能力”が不可欠です。つまり、顧客共創は組織内部の変革とセットでなければ成立しないのです。

外の変化に、内側が追いついていない企業が多い

市場の変化は加速し、顧客の期待値は年々高まっています。一方で、多くの企業では次の課題が見られます。

  • 縦割り組織の中で、顧客起点の意思決定ができない
  • 経営が描くビジョンと、現場の動きが噛み合っていない
  • 顧客の声は集めたが、「どう活かすか」で止まってしまう
  • 変革を推進するチームが孤軍奮闘し、組織に浸透しない

これらはすべて、外側の変化のスピードに、内側の変化が追いついていないことから生まれる問題です。このギャップを埋めない限り、顧客理解は活かされず、価値共創も絵に描いた餅になってしまいます。

共創できる企業は、まず“組織と人”に投資している

私たちが伴走してきた成功企業の多くは、共通してこう語ります。
「顧客と共創する前に、まず自分たちの組織と文化を整えた」
これは単なる“組織開発”ではありません。

顧客価値を起点に、以下を再構築するプロセスです。

  • 新しい意思決定の仕方
  • 新規事業やブランドのつくり方
  • 共創的な働き方
  • 組織の対話構造
  • 垣根を超えた協働の設計

内側で対話が生まれ、解釈が共有され、意思決定が変わることで、顧客との対話の質も自然と変わっていきます。

内側が変わると、顧客との対話の質が変わる

組織の内側が変わると、顧客との関係性にも変化が起こります。
顧客の声を「要望」ではなく「示唆」として受け取れるようになり、短期的な改善ではなく、未来に向けた価値づくりの対話が生まれていきます。
これが、内側を変えることで、外側で価値が共創されていく状態です。

10 Inc.が考える、価値共創の本質

10 Inc.は創業以来、「顧客と企業、そして社会との間に新しい価値をつくること」を中心に据えてきました。

私たちの考える価値共創とは、
顧客の声を集めることでも、外向きの施策を増やすことでもなく
企業の内側の変化まで含めて、未来の価値を共に形づくること
です。

① 深い顧客理解(リサーチ、ナラティブインサイト)
顧客の生活や心理、文脈の深層まで入り込み、「何を欲しているか」だけでなく「なぜそれが価値になるのか」までを捉えます。

② 戦略・ブランド・事業構想のデザイン
得られた洞察を、事業戦略やブランド、体験設計へと翻訳し、企業としての未来像を描きます。

③ 組織と人の変容デザイン
共創型ワークショップやプロトタイピング、対話設計を通じて、人の解釈を揃え、組織が実際に動ける状態をつくります。

私たちが提供しているのは、単発のリサーチや施策ではありません。顧客理解が組織の中で共有され、対話され、意思決定と行動につながっていく「共創の循環」そのものを設計・伴走しています。

顧客理解を、組織の共通言語に変える
MROCや各種リサーチで得られた顧客の声やナラティブを、部門や立場を超えて共有・議論できる形に翻訳します。

洞察を、戦略・ブランド・事業へつなぐ
顧客インサイトを起点に、Purposeや価値提案、ブランドの軸を言語化し、企業としての進む方向を明確にします。

組織と人が“動ける状態”をつくる
社内に対話と試行の文化を育て、顧客と向き合う前に、まず社内で共に考え、共に決め、共に動ける状態をつくります。

こうした企業の挑戦に、「価値共創」という統合されたアプローチで伴走することが、10 Inc. の存在理由です。

価値は、内側から生まれ、外側へ広がっていく

顧客と社会が求める価値は、これからさらに多様化し、複雑性を増していきます。この未来に応えるために必要なのは、外向きの施策を増やすことではなく、「内側を変え、外側と共に価値を創る会社」へと進化することです。

10 Inc.は、その変革と共創のプロセスに、これからも伴走し続けます。